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12月5日に文化財保護委員が開かれ、東日本大震災に伴う有形文化財の指定について審議された。笠野地区の八重垣神社は有形指定文化財であったが、津波により流出したため、有形指定文化財ではなくなった。八重垣神社は、山元町一帯では主要な神社であり、神社に参拝して、初日の出を見て年を越す人も多かった。震災後、八重垣神社の残骸が地域の人によって収集された(写真1,2,3,4)。その過程で、八重垣神社の神輿が発見された。話者は、神輿を中心に八重垣神社で開かれていた「天王さん祭」を無形文化財に指定できないか検討中である。「単純に建物がある、ないというだけでなく、地域性を考慮して文化財としたい」と考えている。
「天王さん祭」を無形文化財として指定したいが、指定文化財は半永久的に継続させる必要がある。その場合、神輿を担ぐ人など、継承する人がいなければならない。話者の友人に、笠野でサーフショップを経営している人物がいる。今年の夏に町長杯のサーフィン大会を計画していたが、東日本大震災により予算審議が中断され、企画は流れてしまった。サーフィン大会は、現在行われているホッキ祭りと並んで町の大きなイベントにするつもりだった。山元町のビーチには山形など県外からもサーファーが訪れていた。ビーチのクリーン活動に従事するようなサーファーであるため、上手く祭の担い手へと取り込めないかと期待している。現況では、文化財指定に向けて、「人がいない、住宅がない、地域がない」という問題がある。話者は、他にも大晦日に八重垣神社に参拝できるように、発電機で電気を通す計画を考案中である。一時的に電気が通った場合、地域の人が参拝するのではないかと考えている。
震災後の文化財関係の活動として、やまもと民話の会という団体による活動がある。やまもと民話の会とは生涯学習の会であり、教育委員会の管轄対象である。この団体が津波の聞き取りを行っている。やまもと民話の会による『巨大津波』では八重垣神社の宮司A氏、中浜地区の神楽について言及してある。地域の古老が津波で亡くなったため、言い伝えをどのように継承するかが課題となっている。
宮城県地域文化遺産プロジェクト
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