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お正月には2日かけて獅子舞が各家をまるものだった。日程は年ごとに決めるので、2日と3日、あるいは4日と5日、5日と6日という年もあった。年によって日にちは違うが、大体5日と6日ではないか。以前、魚を初売りに間に合わせたいのではやく漁をしたいという声にこたえて、1月1日にした時もある。
1日目は午後から始めて、夜遅くまで行う。2日目は午前中から始めて、大体昼3時ぐらいには終了する。舞手は村の男たちで、さらに横笛を吹く人が2、3人、太鼓をたたく者もいる。それらのメンバーからなる一団が、新山浜は2つにわかれていて(具体的な名称は不明)、家ごとに回っていく。家に寄る度に出される御馳走や酒を飲食し、寄付金をもらう。寄付金は1万~2万ほどを家にいるひとが一人ずつ袋に入れて渡す。縁起のいい数字になるようにすることが求められる。例えば4や9という数字は避けられるべき。4万円だったら3千円たす、というふうにして。一家で大体、3、4万円、7万円くらいになることも。
獅子舞は消防団(事業団?)が取り仕切っており、集められた寄付金は消防団の活動費になる。獅子舞に同行する人も含めて12人ぐらいが集落中を回る。子ども(主に男の子だが最近は女の子も)たちは「ししはやし」を務め、行く先々からお菓子をもらったりしていた。でも、今は中学生が2人しかいない。ひとりは中2で、もうひとりが中3。高校生になってしまうと、「ししはやし」には参加できないらしい。
家で獅子舞を迎える側も様々な準備をする。寄付金を準備する場合、世帯の合計金額が縁起のいい数字になるようにしている。また、獅子舞の一行をもてなすための料理も用意する。その人たちに食べてもらいたいから、主婦は他の家庭で出なさそうなメニューを一生懸命考えているのだという。子どもたちからも「あの家では○○が出たよ!」などと報告してきたりする。
獅子頭の色は黒。牡鹿半島の表浜は赤で、裏浜の新山と泊は黒。新山のものは松(?)で作られているためとても重い。
いつのころからか、人数も減ったので小正月にコミュニティーセンターで獅子舞を回すことにしていたが、それさえも去年から実施していない。
宮城県地域文化遺産プロジェクト
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