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八幡神社の御輿の担ぎ手、ロクシャク(陸尺)はトーメーと呼ばれる当番制で担当することになっている。鹿折地区では4つの地区(中才・浪板・蔵底(くらそこ)・東八幡)で毎年当番を決め、八幡神社での祭礼をおこなっている。当番はこの4つの地区でローテーションにより決め、中才・浪板・蔵底・東八幡の順番で回していく。
湾内の人は鹿折八幡神社の氏子であるが、各地区にそれぞれある神社の氏子でもある。というより、自分たちの神社である、という認識である(『気仙沼市史』Ⅶ、514-5頁には、「無格社 飯綱神社、明治42年9月30日八幡神社ニ合祀」とある。明治39年の勅令の影響であろう)。浪板は、行政区としては浪板1、2と分けられている。浪板1の住民は飯綱神社の、浪板2の住民は須賀神社の氏子崇敬者である。
浪板はオリンピックの年がトーメーで、その次の年は蔵底と呼ばれる新浜1、2丁目あたりの町場、次の年は東八幡あたり、そしてその次の年は、西中才と東中才が担当する。今年担当の浪板は大丈夫だが、今回蔵底は大打撃を受けているので、ローテーションが崩れる可能性は否定できない。巡行の途上、氏子の庭などに休憩所がもうけられるが(一般に言う「御旅所」)、飯綱神社、須賀神社の脇には集会所があり、そこに神輿が入って直会が行われるときには、ロクシャクの担当であるなしにかかわらず、参加する。浪板がトーメーの時には、八幡神社の前夜祭に虎舞を奉納し、神輿渡御の際には鶴が浦から船で出てお神明さん(五十鈴神社)の前を通って鹿折の岸壁に着ける。会場で3回ほど回るが、右回りだったか左回りだったかは定かではない。葬列は左回りだというのは確かなのだが。この折りに神輿の後ろには太鼓がついてうちばやしを行い、虎を舳先で振る。浪板には虎舞があり、中才にはうちばやしがあるが、それ以外の地区には、そういった伝統芸能はないと思う。
宮城県地域文化遺産プロジェクト
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