T-1 気仙沼市唐桑宿地区

2011
T-1 気仙沼市唐桑宿地区
(PDF) 

[調査日]2012 年 2 月 16 日(木)

[報告者]
植田今日子 
[調査者]
植田今日子 
[補助調査者]
相澤卓郎 
[話者]
(1)T145宮城県漁業協同組合唐桑支所指導課長(生年不明 - 男) 
唐桑漁船の組織形態と非常時の船の動きについて

 以下は宮城県漁協唐桑支所の組織図である。カキ、ホタテ、ワカメの各部会は養殖に関わる漁業権を管理統括している組織である。磯根資源部会はアワビ、ウニ、雑海藻といった漁業権を管理し、開口日の取り決めを行っている。
◎カキ部会
◎ホタテ部会
◎ワカメ部会
◎小型漁船協同組合
◎磯根資源組合
◎婦人部
◎青年部

 この他に漁協と別組織ではあるがOBが所属する唐桑海友会、海難事故の遺族が所属する慰霊碑保存会、そしてほぼすべての小型漁船協同組合員が所属する無線組合が存在する。
 以上の組織のうち、今回のような甚大な津波にかぎらず小規模の津波、遭難や海難事故発生時にどのような活動を展開するのかについてお話いただいた。
 海上での事故や遭難などの発生時には、無線から連絡が入る。小型漁船協同組合の周波数は統一されているのだという。一方が入ると、捜索本部が設置され、捜索リーダー船および食料運搬船が選出されるのだという。そして遭難者のイエのある部落の女性、および婦人部は炊き出しを行う。炊き出しは連絡をとりあう陸(オカ)の人びとに対してもだが、食料運搬船に繰り返し運ばれ、食料運搬船は遭難者や遭難船を捜索する船と港を行ったり来たりするのだという。
 今回の津波の際にも小型漁船協同組合員の無線には地震後なるだけ沖へ船を出せとの連絡が飛び交ったという(ただし沖出しはタイミングや場所によって危険をともなうため、漁協では公式に沖出しを推奨していない)。港へおりて船に沖出しをよびかけた元議員の船員もあった(ただしこの方は沖出しに間に合わず船を流失)。
 県漁協唐桑支所の一組織であるかのように見受けられる「小型漁船協同組合」であるが、実際には唐桑半島の祭祀を担い、遭難時には捜索の中核の役割を担い、漁業資源の管理を行っていることがうかがわれる。この他にも海難事故の遺族らで組織されており年に1度の合同慰霊祭を行う「慰霊碑保存会」、遠洋漁業のOBで構成されている「唐桑海友会」がある。海友会は70代以降の構成メンバーの減少がつづいているそうだが、九九鳴浜の清掃、記録集の編纂、こどもらに伝統漁法や昔話を伝えるといった活動を行っている。なかでも小学4年生になるとカキ筏の養殖に取り組み、卒業と同時に育ったカキを食べるという小学生のカキ養殖体験の指導を行っているという。この筏もしかし、唐桑の海のすべての養殖筏と同様に流失してしまったという。

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